クライアントへの納期が遅れそうな場合はどうしたらよいでしょうか?

会社経営や起業の知恵袋  > よくあるご質問(FAQ)  > 個人事業に関するご質問  > クライアントへの納期が遅れそうな場合はどうしたらよいでしょうか?


イラストレーターとして独立し、ある会社からイラスト100展の注文を受けました。納期まで数日ですが、パソコンの故障で中断したため、間に合いそうにありません。業務に関する契約書は結んでおらず、倍賞を請求されるのではないかと不安です。





クライアントの意向によっては、すべて正直に伝えて、納期延長を打診したほうがよいケースもあります。


 クリエイター系の仕事は、クオリティ(品質)と、スピードの両面が問われます。納期を守れないのは、フリーランサーとして片面の評価を落とすことになります。

 パソコンのトラブルという言い訳も、リスク管理の欠如を露呈するだけです。信頼関係を築いている相手ならまだしも、初めての取引相手だと取り返しがつかなくなるかもしれません。

 自分一人の力で間に合いそうにないのなら、すぐ同業者に助けを求めるべきです。他のイラストレーターに声をかけ、手伝ってもらうようにして下さい。その際、たとえあなたの負担が大きくなっても、報酬は多めに出すようにしましょう。納期を厳守するという原則からは、以上の回答になります。

 ただし、制作物のクオリティや独自性という面に目を向けると、別の回答になってきます。他のイラストレーターのタッチで、クライアントに了承してもらえるのか、イラストに求められているのは、あなたのオリジナリティなのか、クライアントの意向によっては、すべて正直に伝えて、納期延長を打診したほうがよいケースもあります。


損害賠償を請求されたらどうするか

 ビジネスの世界では、さまざまな場面で契約書を結ぶことになります。契約書の締結はトラブルが発生した祭、双方が納得して迅速に処理・解決するためであり、必ずしも違反者にペナルティを課すことだけが目的ではありません。

 質問の方のように、イラストレーターやライターなどは、口頭の約束だけで仕事を請け負うことが多く、契約書を交わす週間がないというのが実態です。契約は、こうした口頭による合意でも成立したこととみなされます。契約書を交わしていなくても、業務依頼書や作成要項、あるいはメールやメモ書きでも、納期などを明記しているものが残っていれば、それが証拠になるのです。ですが、仮にそうした証明書類が残っていないとしても、契約書を結んでいないからなどという理由で、納期を無視するのは論外といえます。

 契約書を結んでいた場合、納期違反の損害賠償が記載されていれば、納期の遅れは契約不履行となり、記載されている賠償額を請求されても仕方ありません。原則として、賠償額は契約時に双方の合意さえあれば、自由に決めることができます。

 ただし、損害賠償は債務不履行による実損(民法では、「通常生ずべき損害」)を補填することが目的であり、懲罰を目的とするものではありません。あまりに巨額で公序良俗に反するものであれば、無効になることがあります。法的な問題に発展しそうなら、弁護士に相談したほうがよいでしょう。